焚き火考現学


古野 寛



沢にたき火は欠かせない。燃え盛る炎を見ていると夢幻の境地に誘い込まれてしまう、とは言うもののふと俗世界のことを考え、たき火の燃やし方の中に真理を教えられてしまうのである。

・ まず太い木々を並べて敷き、熱が逃げるのを防ぐと共に風通しを良くします。
 →事業開始にはしっかりしたベースと暖かいバックアップが必要。

・ 始めは細かい枝を重ねて押さえ、煙のままでもあおがず、温度が上がり、炎が上がるのをじっと待つ。
 →プロジェクトの始めはたとえ成果が出なくても我慢してじっと待つこと、むやみに焦って組織をいじったりしない。

・ 細かい枝からじょじょに大きい枝に。
 →ひとつひとつの細かい実績を積み重ねていくことが肝要。いきなり大きな仕事にとりかかっても挫折する。

・ 大きい木だけではうまく燃えない。小枝も一緒に燃やしてはじめて大きな木が燃えます。
 →大物だけでなく、小物、サポート部隊も含めて適材適所が必要なのです。

・ 中央部が燃え尽きた場合はそのままで中央部に少し移動させる。抜いて上に積み重ねるのは厳禁。特に湿った木の場合は。
 →せっかく燃えていた部分は「経験」です。この経験を活かして続けていければ力になります。新しい仕事につけるのはリスクがあります。

・ あまり扇ぎすぎると「あおぎクセ」がつく。
 →指示待ち族の集団にしないためにも自主性を育てよう。

・ 常に生乾きの木を側に置いて乾かしていくこと。
 →常に世代交代を考えて若者を育てて行くことが長期の繁栄につながります。

・ オキが溜まってきたらかき混ぜる。
 →老害に注意してショック療法をしたり、風通しを良くすると組織は活性化する。

・ 大きいたき火ほど簡単。
 →周りを巻き込んで大きな動きにしたほうが成功しやすい。拡大均衡はやりやすいが縮小均衡は難しい。

・ 翌朝、燃え尽きた焚き火をもう一度燃やすには燃えかすの炭の部分を集めてそこに点火する。
 →経験者の再結成は立ち上がりが早い。焼けぼっくいには火が着きやすい。

元気のいいたき火は気持ちのいいものです。こんな時くらい仕事のことは忘れようネ。酒が足りないかな?

(1993.10.31/2010.10.23追記)


戻る