TOP会員山行録2006年

スキーツアーの王道?ベストコンディションでした

出羽三山/月山より肘折温泉山(山スキー)

石井

【日時】2006年4月29日〜30日
【メンバー】石井(L)、田辺(利)

念仏ヶ原に向けて滑る田辺(利)
 行こう、行こうと思いながら、なかなか行く機会に恵まれなかった月山〜肘折のツアースキー。その理由は、天候が安定し、下まで滑り込めるようなベストシーズンが極めて短いこと、入下山口が全く逆方向なため、その対処に一念を要することからであろう。前回、当会でも車の回収に運転代行を利用するという手段を取っている。「今年は雪が多いし、チャンスだよ!」とさんざん声をかけたものの、業務多忙の利香さんを無理矢理誘い込んでようやく二人、という状況だったため、やむなく公共交通機関利用とする。ま、それも「ツアースキー」らしくていいか!

 都内から月山の麓まで約450キロ、それでも今回は二人ということもあって高速を使ったのは半分、4時前に道の駅にしかわに到着して仮眠する。のんびり起きて準備し、9時過ぎの町営バスにて姥沢へと向かう。月山ダム付近から道端に雪が現れ、志津を過ぎるともうバスより高い雪の壁、明らかに今年は雪が多い。大勢のゲレンデスキー客と山スキーヤーに混じってリフトに乗るが、泊まり装備とおぼしき人など誰もいない。背後を振り返れば、朝日連峰も大井沢の集落も今年はまだ真っ白、昨年行けなかった月山〜赤見堂山より連なる稜線が恨めしい。リフト終点から牛首めがけて広大な斜面を行くが、今回は少し稜線に早く上がりすぎた。少し下っても直接牛首を目指したほうが早そうだ。山頂への急登もほとんどシールで可能、利香さんも日頃の仕事で忙殺されずに山ではイキイキ、順調なペースで登ってくる。やがて平らとなって頂上、出発が遅いので昼過ぎとなり、既に大勢のスキーヤーが憩っていた。
 一服してから体勢を整えていよいよ滑降、頂上の賑やかさともお別れだ。跡はいくつかあるものの、東面の大斜面は貸し切り状態、利香さんが雄たけびを上げながらシュプールを描いていく。念仏ヶ原を望みながらのスロープは緩く、雪質も軟らかなので全く緊張感が無く、自在にクルージングが楽しめる。尾根が顕著になってくると潅木が現れ、立谷沢に向けて少し斜度を増し、割れもある斜面となるが、むしろ変化があって楽しい。最後は右手の小沢の急斜面に入って立谷沢へと下り立つが、橋どころか水面はほとんど出ていない。
 休憩して対岸の小沢をひと登りすれば、広大な念仏ヶ原の一角、淡々と歩を進める。振り返れば滑ってきた月山はすでに遠さを感じさせ、スキーのスピードを実感。跡があったので予想はしていたが、ガイドツアーの先行パーティーが避難小屋を掘り出しており、作業に加わる。前々週の情報でゾンデで探し当てて掘り起こされたと聞いていたが、その後の降雪で埋まったのか、二階の入り口まで4,5m掘り下げなくてはならなかった。1時間以上かかったが、どうにか戸を開けることができ、布団もあって快適な夜を過ごすことができた。

 翌朝は6時半過ぎに出発、小岳に向けてのシール歩行で始まる。若干のアップダウンはあるが、斜度は緩いのでいいペースで進む。小岳山頂で少し雪が切れたが、その後はほとんど快適なスキー。少し下ったコルにある案内板を確認、左手斜面をトラバースして赤沢川の源流に入る。素敵なブナ森の中をのんびりと斜滑降で進み、100mほどシールで登り返して反対側の尾根筋へと入る。このあたりもスキーの機動力を感じられるところであるし、ルート設定の絶妙さに感心する。細くなった尾根から沢に下り、また登り返したところで雪が無くなり、スキーを外す。その先、大森山手前の稜線はやせ尾根が続いて雪が消えているので、左手の地形図上で凹地となっている斜面を斜滑降で進んだ方がずっと早い。
 大森山への最後の急な登りは汗を搾られたが、頂上からは肘折の町が見え、「ツアー」の終焉を感じる。少し急な尾根をやり過ごせば、程なく杉の植林帯となって林道らしき地形となり、あとはのんびりとそれを外さないように辿っていくだけであった。最後の最後、水芭蕉の咲く温泉街の裏手までどうにかスキーで下り、まだ春浅い雰囲気の肘折へと到着した。
 温泉街と共同浴場が何ともレトロな雰囲気で、山菜や紅葉の時期に来ても良さそうだ。さっそく一風呂浴びてビールで乾杯したが、さすがに新庄までのバスでは二人ともぐっすりであった。桜咲く新庄からは「つばさ」で天童まで、さらに奥羽線から左沢線で寒河江まで来たが、西川までのバスは休日運休、仕方なくタクシーで道の駅へと戻った。5時半に出発して帰りも高速は半分ちょっと、それでも日付が変わる前には東京へと戻ることができた。

【行程】
4/29 リフト終点(10:40)〜月山山頂(12:35-50)〜念仏ヶ原避難小屋(14:50)
4/30 念仏ヶ原避難小屋(6:40)〜978m(8:30-50)〜肘折温泉(12:00)
【地形図】月山、立谷沢、葉山、肘折