TOP会員山行録2006年

浪漫の流域へ

毛猛/羽根川キンカ沢〜黒又川高倉沢(沢登り)

棚橋

【日時】 2006年7月22日(土)〜23日(日)
【メンバー】L佐貫、大野、手嶋、棚橋、山川

 この流域は嘗て浦和浪漫によって度々遡行されており、私にとってこの辺りは「浪漫の流域」である。パイオニア精神に溢れた山岳会が地域研究を行っていた所に訪れるかと思うと、淡い憧れと共に妙な緊張感が私を包む。

7月22日 曇り
 仮眠地である道の駅にて早起きしたが、予報通りの雨。遡行準備を整え、車中にて天気の回復を待つ。9時には雨もあがったので、今日の予定をキンカ沢右俣遡行花ノ木沢下降と、少し縮めることにして羽根川沿いの林道に車を走らせる。そして林道が狭くなる手前に駐車した。
 林道を20分ほど進むと「登山道」を示す立派な標識が有り、予想外だったために少々驚いた。それは比較的新しく、明神山への道も下部はしっかりと付いていた。更に20分ほど進むとキンカ沢に出合う。そこで少し休んだ後、入渓する。
すぐに二俣が現れ、右俣を進む。小滝を越えると倒木に平茸があり、少しではあったが収穫させていただく。その先の4m滝は登れないので左から巻くが、その先も滝となっており一緒に巻いてしまった。先の二俣は左に進み、C.698の少し北西を目指す。樋状の急なスラブを標高差で100mほど登ると、やがて源頭部の様相となる。心配されていた藪も大したことはなく、稜線に至る。稜線までは、踏み跡が所々確認できた。そして北西に目を向けると明神山南側の踏み跡(登山道?)が遠望できた。
 黒又川を目指し、花ノ木沢左股を下降する。東ノ沢出合に小屋跡が有り、周辺を広範囲に且つ念入りに探索した結果、そこに幕を張ることとする。

7月23日 晴れ
 6時前に幕場を出発。10分ほど下降すると高倉沢に出合う。高倉沢は地形図には上ノ大沢と記載されている沢だ。期待を抱いて遡る。間もなく現れたS字状のナメ滝、3条12m滝を越えてからは平凡で、しかも藪っぽくなりつつある。しかし水量は豊富であるので、期待は失わなかった。
 ゴルジュの先に滝が噴出しているのが見えた時、信じはしていたがホッとした。そのゴルジュに懸かる4m滝は水量が多い上にツルツルで、とても登れそうにない。しかし右岸の側壁に残置ロープがあるので、何とかなるのではないかと思われ、取り付いてみる。先ずは傾斜の強いツルツルのリッジをゴボウで登り、落ち口目指し方向を変えて下りると、何とか登り切れた。登ってみると、その先も狭いゴルジュが続いている。ザックを背負ってでは一寸ショッパかったので、荷揚げを行うことにする。荷揚げは上下で連携を取りながら、トラバース気味に引き揚げた。残置ロープ様様であったが、それにしてもこの残置ハーケン、どうやって打ったのだろう。
 ここから先は狭いゴルジュの中の瀞をしばらく進む。そしてゴルジュに懸かる滝をいくつか越える。大野君が全身で水流を受け5m滝を登ったのを見て2人はそれに続き、残りの2人は右から巻いた。2段8m滝を越え7m滝を右から巻くと滝場は概ね終わり、後は尾根を乗っ越すべくC.789に詰め上がる。なるべく沢型を詰めていくと藪も思っていたほど濃くはない。稜線からは檜岳、百字ヶ岳、毛猛山がハッキリと見えたが、沢筋の残雪はそれほど多くはないようだ。
 稜線上の踏み跡を少しだけ北に進み、支尾根より下降を開始する。思っていたよりも、ずっと歩き易い。沢に下りてからは、1度だけ大事をとって10mの懸垂下降を行った他、特に問題もなく下降を続ける。C.570m付近にてクライムダウンできない滝が現れ、その先には雪渓がビッシリと続いていたので、地形図にも示されている右岸側の道を求めて支沢を上がる。始めのうちは結構しっかりとした踏み跡であったが進むにつれ不明瞭になり、しかも嫌らしくなってきたが我慢してトラバースを続ける。いい加減ウンザリした頃に林道の橋が現れた。そこから駐車場所まで、しっかりとした林道を50分ほど歩いた。

 多くの遡行者を迎える沢より、このような遡行を興味深く思えるようになりつつあるとは、私のヘソも大分曲がってきたのか。また、この山域なら○○山岳会の○○さんの領域だと言われる方に改めて敬意を表します。

【行程】
7/22 駐車地点(10:30)〜キンカ沢出合(11:10)〜稜線(13:30)〜東ノ沢出合(15:10)〜C1(15:30)
7/23 C1(5:45)〜高倉沢出合(5:55)〜稜線(9:45/10:15)〜ぜんまい道(12:00)〜駐車地点(13:35)
【地図】大湯、未丈ヶ岳