TOP会員山行録2006年

奥利根のメロウな沢

奥利根/矢木沢川 ジロウシ沢支流四ノ沢(沢登り)


四ノ沢・25m大滝

刃物ケ崎頂上直下
【日時】 2006年7月29日(土)〜7月30日(日)
【メンバー】L田辺(利)、山口、浅井、辻

 お盆山行として予定されている白神のプレとして“メロウな沢”に行きたいとの田辺さんの呼びかけにより、パーティが編成される。中々明けない梅雨のため天候への期待は今一つだったが、奥利根山域は以前から遡りたい場所の一つだったので、(短い日数での準備で慌ただしかったが)楽しみであった。


7/29 曇り
 雨も覚悟していたが、薄曇りでまずまずである。しかし、矢木沢本流は(濁流と呼ぶ程ではないものの)茶色く濁っていた。ゴーロ歩きがしばらく続き、所々ペア徒渉を強いられる。カルマリ沢の先のゴルジュは右岸を腰まで浸かりながらへっつり、小滝をシャワーで乗り越える。続いての15mの魚止めの滝は、左岸の大高巻きとなる。順調なペースでジロウシ沢出会いに着き、ここで田辺リーダーと山口さんが竿を出す。私も4,5振りさせてもらうが空振り、魚影豊富とはいえない様だ。
 ジロウシ沢に入ってからは小さな滝が連続する様になるが、どれも簡単に直登出来るか小さく巻けるので問題ない。ここら辺から利香さんの目が輝いてくる。ウドやタラの芽が所々に生えていたのだ。釜で泳いで遊んだりしながらのんびりと進み、四ノ沢出会いの手前に幕営する。
 薪はどれも雨で濡れていてなかなか火がつかないが、ベテラン山口さんと浅井さんの執念により明々と火が上がる。ビールを片手に、イワナの塩焼き、焼きウド、タラの芽スープと沢三昧の食事を満喫する。夜には満天の星空のおまけまで付いてきた。

7/30 曇り後晴れ
 刃物ケ崎山の三角点をぜひ踏もうということになり、テントを残して四ノ沢を遡る。3段6m滝と8mトヨ状滝を越せば、問題なるところはないというのが、小泉さんの「奥利根の山と谷」の記録であったが、25mスダレ状大滝が目の前に立ちはだかった。巻きもいやらしいが、スパイクを装着して右岸を藪伝いに登る。巻きながら滝を見てもとても簡単に登れるとは思えない。この滝を越すと段々と傾斜が急になり始め、やがて水も涸れる。頂上から東南に延びる尾根を目指して突き上げるが、草付きのトラバースがあったりして余りよくない。帰りの時間が気になり出した頃、右側が本当に刃物の様に切り立った尾根に出る。しかし、頂上まではザイル必携に見える岩峰がそびえ立っている。上空は梅雨明けを確信させる青空が広がっており、奥利根湖なども見下ろせた事で十分満足できたのでここで引き返すことにした。大滝の下りはザイル2本を目一杯使用して懸垂下降する。テント回収後は、積極的に釜に入りながら先を急いだ。

【感想】
 トマでの初めての泊まり山行だった。今回は、(前の週の大常木よりは)大分まともに歩ける様になったと思う。また、装備や滝の登り方、山菜の採り方、テンバの過ごし方など、皆さんからいろいろご教示いただいた。「沢をやっていたと言いながら、何にも知らない奴だな。」と思われたかもしれない。自分でも(体力や技術のみならず)知識まですっかりどこかに飛んでしまったのかと心配になった。しかし、(一部はそれも事実だが)改めて考えると、これまで沢登りについて「沢ヤ」から指導を受けたことが一度もないことに気付いた。大学のサークルでは、装備を買い揃えるお金がなかったこともあり、地下足袋、フェルトわらじ、ヘルメット、ハーネス兼用シュリンゲ、カラビナ一枚を持つ以外、縦走とほとんど変わらない装備での活動だった。社会人になって入った山岳会でも、沢登りを活動の中心とした会ではなかったため、装備や沢での行動なども各個人で様々であったし(安全確保の為の最低限の統一はあったが)、達人から懇切丁寧な指導を受けるということもなかった。トマでは当たり前に行われている様なことについても、本等から得た「知識」として知っているだけで、何となく自分とは別世界の人達のやり方と思っていた。これまでは、「沢登りの真似事」をやっていただけだったのかもしれない(ただし、それでも沢を十分に楽しむことが出来たのである)。この会から学ぶことは、当面事欠かない様である。なかなか上達しないかもしれませんが、どうか見捨てずにお付き合いください!!

【行程】
7/29  矢木沢ダム駐車場(8:15)〜矢木沢本流(8:45)〜魚止めの滝(10:30)
   〜ジロウシ沢出会い(11:35/12:40)〜四ノ沢出会い(15:00)
7/30  四ノ沢出会い(5:50)〜25m大滝(6:40)〜尾根(9:50)〜四ノ沢出会い(11:40/12:10)
   〜本流出会い(13:30/13:50)〜矢木沢ダム(16:40)
【地図】「藤原」「奥利根湖」「巻機山」「茂倉岳」